歯医者でレントゲンを撮るたび、画面に映る金属の影。 「これ、いつまで入ってるんだろう」 「もし何かあったら、また取らないといけないのかな」
輪郭手術を受けた方の多くが、術後何年経っても、こうした小さな不安を抱えたまま過ごしています。
今回は、5年前に韓国で輪郭3点(頬骨前面・頬骨弓・オトガイ)の手術を受けられた方が、当院でピン・プレートをすべて除去された症例をご紹介します。
こんな悩みを抱えていませんか
ご相談に来られた方が話してくださったのは、こんな内容でした。
- 歯科治療のたびにレントゲンに金属が映り込むのがストレス
- こめかみのあたりが、術後からずっと少しポコポコしている気がする
- このまま一生、体の中に金属が入ったままなのが落ち着かない
「全部抜きたい」という強い思いを持って、当院を受診されました。
実はこうした悩みは、海外で輪郭手術を受けた方からよく聞かれます。手術自体には満足していても、何年も経ってから「金属が残っていること」自体がストレスになっていく ― これは決して珍しいことではありません。
まずはCTでしっかり現状を確認
ご相談後、CTで体内に残っているプレートの位置と数を確認しました。

その結果わかったのは、
- 頬骨前面に左右2箇所ずつ
- 頬骨弓に左右1個ずつ
- オトガイに真ん中1つ、左右1個ずつ
という、合計多数のプレートが留まっている状態でした。CT画像からは、オトガイのプレートが骨にしっかり埋まっていることも予想されました。
「自分の中にどれだけの金属が入っているのか」を正確に把握することは、手術計画を立てる上でも、何よりご本人が安心して手術を受けるためにも、とても大切なステップです。
手術前にしっかりお伝えしたこと
手術前には、リスクについても丁寧にご説明しています。
今回最もお伝えしたのは、顔面神経の側頭枝が一時的に麻痺する可能性があるということ。多くの場合は時間とともに回復しますが、可能性としてゼロではありません。その他、感染や血腫などのリスクも、頻度は低いものの事前にきちんとお話ししました。
アプローチは前回の手術と同じ切開線を使用し、頬骨弓部分が骨に埋まっている場合には切開線を少し延長する方針としました。傷を増やさず、できるだけ低侵襲に進めることを意識した計画です。
手術の様子
手術は全身麻酔(麻酔科専門医による管理下)で行い、手術時間は4時間17分。出血は少量で済みました。



頬骨前面のプレートは骨に埋まっておらず、スムーズに抜去できました。一方でオトガイの左・中央のプレートとピンは骨にしっかり埋入していたため、ノミでプレートを浮かせてから先に抜去し、ピンは骨を少しずつ削りながら丁寧に取り除きました。頬骨弓のプレートも一部が埋入していましたが、プレートごと持ち上げることで、プレートとピンを一緒に除去できました。
最終的に、すべてのピン・プレートの抜去が完了。開窓した部分は吸収糸で縫合し、手術を終了しました。
術後は1時間後から飲水を開始し、問題なく摂取。痛みは自制内、腫れも軽度で、歩行のふらつきや吐き気もなかったため、術後3時間というスピードでご帰宅いただけました。
術後の経過 心配だった麻痺も完全回復
手術当日、左の顔面神経側頭枝にごく軽度の麻痺が見られました。ただご本人には「眉が重い」といった自覚症状はなく、回復を促すお薬(メチコバール)を内服しながら経過を観察することになりました。
そして術後1ヵ月の検診では
- 腫れはほぼ完全に引いていた(ご本人の感覚では、1週間ほどで腫れが収まったとのこと)
- 腫れのピークは術後2〜3日で、食事は翌日から問題なく摂れた
- 歯ブラシも術後翌日から可能だった
- お口もしっかり開き、運動制限もなし
- 気になっていた顔面神経側頭枝の軽度麻痺も、完全に回復

写真で比較しても、腫れによる変化はほとんどわからないほどの、良好な経過でした。
なぜピン除去は腫れが少なめなのか
骨を切る輪郭手術そのものと比べて、ピン除去・プレート除去は出血量も腫れも控えめなことが多いです。骨切りを行わないため出血が少なく、腫れの程度は輪郭手術と比較してだいたい6割〜8割程度という印象です。
「手術」という言葉に、輪郭手術と同じくらいの負担を想像して足踏みしてしまう方もいらっしゃいますが、ピン・プレート除去だけであれば、体への負担は比較的軽く済むケースが多いのです。
手術を終えて
プレートとピンがすべてなくなったことで、これからは歯科クリニックなどへも安心して通えるようになりました。腫れも比較的少なく、経過は良好です。
レントゲンに金属が映ること、こめかみの違和感 ― 長年抱えていた小さな不安から解放されたことは、見た目の変化以上に大きな意味を持つのではないでしょうか。
こんな方にお伝えしたいこと
- 過去に輪郭手術を受けて、ピンやプレートがそのまま体に残っている
- レントゲンに映る金属が気になっている
- 歯科治療のたびに少し気が重くなる
- こめかみや顎のあたりに、何年経っても違和感がある
そんな状態に心当たりがあるなら、一度CTで現状を確認してみることをおすすめします。何個・どこに、どんな状態でプレートが残っているのかを正確に把握するだけでも、不安は大きく軽くなるはずです。
ピン・プレート除去は、輪郭手術そのものよりも体への負担が軽く済むケースが多い処置です。「もう一度手術」というハードルの高さを感じている方も、まずは現状を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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